4th down gamble

「幽霊西へ行く」

 日曜にあった甲子園ボウル西日本代表校を決める立命館×関学の一戦はリーグ優勝決定戦の結果から一転、34-3で関学の完勝。1Qからビッグラン連発の関学と、小さな反則を重ねて波に乗り切れない立命館、キレイに明暗分かれました。立命エースQBの故障とか喫した4つのターンオーバーさえ勝敗を分けた大きな要因とは思えない(大差がついた要因ではあるが)ほどで、それよりもエースRB西村の不発が痛かった。対する関学のラン獲得ヤードは300を超え、アメフトのスタッツって額面通り受け取れない数字も多いけど、ここはかなり信用の置けるところ。まさかまさかのブローアウトゲームでした。

 柴田錬三郎「眠狂四郎無情控」読了。この作から連作長編の形式を脱してオーソドックスな長編ものにシフトしたっぽいけど、章割りのタイミングや語りのテンポは変わってないので、読み心地が大きく変わったとかいうのはないかな。ただ本シリーズに関していうなら、これまで基本長編として読ませるプロットであったことはなく、そこは本書も同じなので、そこから従来の短編ならではの切れ味が(すべてではないにせよ)失われてしまったという恨みは残る。どうでもいいけど、解説がいっつも同じ人なのが少々味気ない。

高木彬光「幽霊西へ行く」
 刊行時文庫未収録の推理編を集めた短編集――なんですが、これまでに読んできた作者の短編集の中では、意外とこれがいちばん本格度(悪くいえばアマチュア臭)が強いように感じた。中央に置かれた犯人当ての連作がやや全体の密度を下げてる嫌いはあるけど、けっこう新鮮な読み心地でした。そう感じること自体、作者の作風の幅広さを証明しているのかなと。“顔のない死体”や“見えない人”、「盗まれた手紙」の別解に果てはヴァン・ダインの贋作まで、キャッチーな本格のテーマを網羅しつつ、大作「白昼の死角」の副読本としても楽しめる、ファンなら読んでおいて損のない一冊。

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# by nobody85 | 2017-12-08 01:55 | ミステリ | Comments(0)

「古代天皇の秘密」

 柴田錬三郎「眠狂四郎孤剣五十三次」読了。タイトルどおりの旅ものながら、狂四郎ってふだんからわりと諸国漫遊してる感じなので、その点に関してはあんまし新鮮味とかはなかったけど、行く先々の情景・生活描写はやっぱり楽しい。これは舞台が江戸であっても同じで、狂四郎ってああ見えてど真ん中の庶民派ヒーローですわな。あと、鬱になるとかってのとはまったく別の意味でヒロインの扱いがヒドすぎた。ホンマにリアルタイムで連載してたんやなってのが如実に伝わってきて、逆に笑えました。

高木彬光「古代天皇の秘密」
 神津恭介ベッド・ディテクティブ・モード第三弾。作中でも触れられているとおり、俎上に上る謎のスケールが大きすぎて、最後までうまくピントを合わせることができなかった。作者の世代なら基礎知識なんかもしれんけど、ある程度古代日本の神話に興味がある人じゃないとツライ内容になっていて、いま読むには少々高いハードルが課せられている印象……といっても本書の発表は'86年やから、綾辻行人はもうデビューしてた頃ですよね。たんにオレがアホなだけか。
 一点、ヒッジョーに引っかかったのが、前二作では「(人名・地名の)音が似てるからって安易に両者を結び付けるようなことはしたらアカン」っていう主張があったんやけど、なぜか今作ではこれを破りまくってるんですよね。むしろそこを拠り所にしてる感じで、そうかと思うと、自説に都合の悪い時には「それはたんなる語呂合わせだよね」とくるから、モヤモヤしてしまう。お勉強本と割り切ったほうが楽しめるんじゃないかと。

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# by nobody85 | 2017-11-23 23:32 | ミステリ | Comments(0)

「捕虜収容所の死」

 深夜に放映してた関西学生アメフトリーグ優勝決定戦を観る。関学×立命といういつもの顔合わせで、試合は昨季涙をのんだ立命館が21-7で勝利。関学の7点は4Q終盤のものなので、ほぼシャットダウンといっていいでしょう。放映時間が限られていたゆえ、半分ほどのプレーしか観られんかったけど、関学はとにかくオフェンスが進みませんでしたね。ライン戦で圧倒され、ほとんど何もさせてもらえなかった。99.9パーセントの確率で同じ顔合わせになる甲子園ボウル出場権争いまでにここを改善できんと、西日本代表は立命館で決まりでしょう。
 オレがアメフト見始めたころにプレーしていた高田(立命館)・尾崎(関西学院)あたりから較べると、学生チームのQBが年々小粒になっている(ように見える)のは気になるところ。最近は社会人チームがQB・RBといったポジションにまで外国人選手を擁するようになってるので、このへんのポジションに規格外の選手が現れてほしい。

マイケル・ギルバート「捕虜収容所の死」
 大脱走の話。第二次大戦下の英国人捕虜収容所で進行する脱走劇を描いた冒険探偵小説で、刊行当時本格読み界隈でも話題になってた記憶あり。特異な舞台設定ならではの密室の謎とクラシックな犯人(スパイ)探しの楽しさがミックスされた、なかなか読み応えのある佳品に仕上がっており、解説の人の絶賛にも素直に頷ける出来。ただ好みをいえば、作者と登場人物との距離はもう少し縮めてほしかったかなぁ。特定の登場人物に肩入れするような筆致ではないので、全体的に「手に汗握る」と形容するまでのスリルには届かなかった印象。ラスボスっぽい風格を漂わせていた収容所の将校が、中盤を過ぎたあたりであっさり退場するのもいささか拍子抜けながら、こういう古風な職人気質の筆致を好む向きにはまったく問題ないでしょう。このへん、まことに古き良き時代の英国冒険小説といった趣でありました。

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# by nobody85 | 2017-11-22 00:57 | ミステリ | Comments(0)