4th down gamble

「処刑御使」

 シーズン終了。能見背信――っていうか、正直もうこんなビッグゲームを任せられるPじゃないよね、悲しいけど。来季メッセ能見がひとつ年齢を重ねて、これに復活をかける藤浪岩貞と、まだ一年しか実績がない秋山が顔を並べる先発陣は、地味にウィークポイントになりつつあるなぁ。けっきょく来期もメッセ頼みな予感。

荒山徹「処刑御使」
 若き日の伊藤博文を暗殺すべく併合前の朝鮮から時を渡ってやってきた7人の刺客の話。「柳生大戦争」を読んだときに引っ掛かりを覚えた箇所の原因・源流に当たる作品で、一言でいえば荒山版「ターミネーター」といったところか。シンプルなプロットでグイグイ読ませます――が、見せ方として果たしてこれでよかったのかという疑問は残る。
 若き日の伊藤博文(俊輔)がただの記号キャラになってるのは設定上仕方のないことやけど、それならそれでべつにドラマを背負うキャラを用意すべきやったように思う。一応、リンダ・ハミルトンとシュワルツェネガーが恋仲やっていう“重し”はあるものの、そこから紡がれる物語はルーティンワークの域を脱しておらず、それをいうなら作品全体がそうで、作者の内に(おそらく)膨大に蓄積されたアイデアをパターンに乗っけて機械的に消化しているふうな印象は拭えず。それをプロの仕事というんやろうけど、もうちょっとキャラクター設定・描写に深みがあれば、たとえば処刑御使が(作中時間で)51年前の祖国の地を踏むシーンなんか、心にしみる名場面になったと思うけどなぁ。そもそも刺客の頭数が多すぎるように感じたんやけど、“七人目の正体”隠しに一役買ってる部分ではあるし、山風ラブな作者としては見せ方云々以前の大前提なんでしょうね(笑)。

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# by nobody85 | 2017-10-17 23:10 | ミステリ | Comments(0)

「ささやく真実」

 いろんな意味でヒドい試合。怪我人でなくてよかったわ。

ヘレン・マクロイ「ささやく真実」
 真実がささやく話。自白剤的なクスリを飲まされて暴露合戦に発展した宴のあとに残された一つの死体――つう感じに転がるフーダニットミステリ。大好きな某国内古典を彷彿とさせる犯人特定のロジックが印象的で、あっちをキレイに反転した真相になっているのには、読んでてなにやら不思議な気分にさせられた。キーパーソンである“女王”のキャラ立ても見事な反面、それを取り巻く人々はなかなかに没個性で、ドラマ的な盛り上がりという点ではいまひとつか。全体的にはオーソドックスなつくりながら、中盤でウィリングが死体を発見するくだりにはスリラー的な興奮もあって、まずは安心してオススメできる一冊。

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# by nobody85 | 2017-10-15 23:46 | ミステリ | Comments(0)

「オフィス 檻の中の群狼」

 メッセがCSに間に合うとは思わんかった。天気予報はビミョーな感じやけど、さて。

 レンタル映画館のストックが切れる。

「オフィス 檻の中の群狼」
 電通殺人事件。これねぇ、ツカミはめっちゃいいんすよ。会社勤めに疲れたサラリーマンが家族を殴殺、その後姿をくらまして、警察が勤務先の防犯カメラを調べたら事件後社屋に戻っていることが判明、しかし彼が出て行った形跡はなく――と、ストレスマッハの職場風景を交えて描かれるこのへんの展開は◎。さすが「チェイサー」の脚本家(の初監督作品)やなと感心しとったんですが、「ハッ、夢か……」な演出を合図に徐々に失速。全体的にわりと型に嵌った怖がらせ方が目立ち、盛り上がりに欠けました。
 裏のカラクリがバレバレなのも残念なところで、こういう真相やからこそ、事前の“あらため”(社屋の捜索)はしっかりとやってほしかった。そこにハードルを設けることでミスリードにはなってるんやけど、同時に物語が間延びする要因にもなってて、ペース配分がうまくいっていない印象を受けました。ここは冒頭で描かれる惨劇を中心に、前後48時間くらいの流れに収めたほうがスリルを醸せたと思うな。ラストの幕引きも狙ったような余韻は生み出せておらず、そもそも彼女が逃げ切れた理由がわからん(警察は現場検証せんの?)。ジャンル映画ならそれでもいいけど、そう割り切るには雰囲気のある映画なんよね。

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# by nobody85 | 2017-10-13 22:17 | レンタル映画館 | Comments(0)