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4th down gamble

「模倣の殺意」

 ちょっと前からHDDの大掃除を開始、その過程でいまさら「人間の証明」('77年公開)を観たんですが、松田優作が演じてる刑事が棟据さんってところでビックリ。このキャラってこんな大昔から活躍してたのかぁ、オレの中では片岡鶴太郎か佐藤浩市のイメージしかなかったわ、と思いながらネットを調べて二度ビックリ。鶴太郎が演じてたのは牛尾刑事だった(笑)。そういや森村誠一って「高層の死角」しか読んでないなぁ。べつにあの作品に不満はなかったけど、著作が多すぎて、次の取っ掛かりを見つけられずにここまで来てしまった。
 映画のほうは豪華な二時間サスペンスといった趣で、まあそれなりに楽しめました。岡田茉莉子のキャラに既視感があったんですが、ヒロインを演じた松本清張原作「顔」と同じような役なんですよね。あのキャラが齢をとったらこうなった、みたいな。二時間サスペンスの犯人役イメージはこの作品で固まったのかな?

中町信「模倣の殺意」
 けっこう前に本屋でスゲー平積みになってるのを見て気になっていた作品。とくにストーリーについて語りたくなるような部分のない、折り目正しい一発ネタで、奇しくも以前同じ創元推理文庫からスマッシュヒットを飛ばした某作と同じカラクリなんで、これは担当者の売り方がうまいのかと変に感心したり。イジワルな言い方をすると、本書でいちばん感心したのはそこですね。
 なんとも熱のこもらない感想でアレなんですが、こういうタイプの作品は出会いの順序で評価が大きく変わるので、ふだんあまり推理小説を読まない人には十分な驚きをもって迎えられるはず。これだけ売れたんですから、本書がスタンダードの一冊となる人も多いでしょう。本書が発表された年代に鑑みて('73年の作)、それも決して不当な評価ではないのかなと。

# by nobody85 | 2014-11-07 02:59 | ミステリ | Comments(2)

「真実の問題」

 3連休殺人事件。オレは捜査する側ですが(笑)。

 鳥谷メジャー宣言。無言の背中でチームを引っ張っていた(ということにしておく)キャプテンが流出の危機。といって、積極的に留まってほしいという気持ちもないんですが(べつに他意はない)、不動のショートの流出は首脳陣にとって頭の痛い問題でありましょう。果たしてプランBは存在するのか?

C・W・グラフトン「真実の問題」
 犯人が法廷で自己弁護する話。作者は、自分みたいな人間でも名前だけは知っているスー・グラフトンのお父さん。
 衝動的に殺人を犯し、逮捕・起訴された弁護士の主人公が自らの弁護に乗り出す異色の法廷ミステリで、しかし受ける印象としては法廷ものというより倒叙ものに近いか。解説の人も指摘するように、法廷ものとして読むとけっこう検察側の間が抜けていて、法廷で主人公が挙げる反証の数々は、冷静に見ればどれも決定的なものではないんですよね。といって、それが本書の弱点かというとまったくそんなことはなく。本書の魅力は、上記シチュエーションに至るまで――そして至ったのち――の皮肉な展開と、それを物語る主人公の乾いた語り口にありまして。作者としてはこのシチュエーション構築が最優先事項で、それでもミステリとして読者を楽しませるに十分な仕込みはありますし、じっさい出来はいいと思います。ちょっぴりビターな幕切れは、映画化されて名画のワンシーンになっていても不思議じゃないくらい印象的。オススメ。

# by nobody85 | 2014-11-02 02:22 | ミステリ | Comments(0)

「フロリダ殺人紀行」

 甲子園の第2戦から怒涛の4連敗を喫し悲しみの終戦――なんですが、じつは今回の日本シリーズ、仕事の都合でほとんど見ることが出来ませんでした。大隣と藤浪が投げ合った試合くらいかな、まともに観戦できたのは。昨夜のゲームも序盤の大和ファインプレー>マートン上本盗塁憤死あたりまでは車のラジオで聴いてたんですが、そこから現場に入って終わったのが23時ちょっと前で(どうでもいいけど昨日の夜はぬくかった)、肝心なところはまったく見てないんですよね。甲子園に戻ってきてくれると信じていたんだが……。
 そんなわけなので、シリーズの感想はスタッツを見ながらになっちゃうんですが、敗因の第一はやはり打線。とくに第1戦で3打点を挙げ「日本シリーズもいけるやん!」と思っていた4番ゴメスの完全沈黙は痛かった。驚異の三振率は改善されず、来季に課題を持ち越すことになるけど、この手の数字はグレートな打者でもあまり減少するイメージがないので、長打力を伸ばす・活かす方向で研鑽を積むのが現実的か。DH制になってもまったく迫力を生みだせない下位打線も問題で、これは交流戦のときも指摘されていたと思うんですが、今回も有効な策は打てず。DHになって出てくるのが関本とか新井良やもんなぁ。期待感がまったくない……。守備で5打点くらいマークした大和も、打撃がこの調子だと安泰とはいえないでしょう。いや、守備ではホントスゴかったけど。虎の中でMVP選出するなら大和かもね。
 投げるほうはそれなりにまとまっていたので、あとは凡ミス。っていうか西岡。が、もう終わったことなのでグダグダいわない。本人も相当感じるところがあったと思うので、むしろ来季が楽しみになったとポジティブに受け止めておく。

ティム・ドーシー「フロリダ殺人紀行」
 殺意のシーズンの話。なんとなくハイアセンっぽいなと思ってツモってきた一品で、その期待には十分応えてくれた。登場人物がかなりの数に上るうえ、視点も散らばりまくりなので、序盤は少しもたつきを感じるものの、いったん軌道に乗るとその後の展開は快調そのもの。不満点としては、まとめの部分にややご都合主義を感じさせるのと、やはりキャラはもうちょっと整理して物語の重しになるようなポジションを作ってほしかったかな。フロリダを舞台にした犯罪ものとして十分及第点に届いているとは思いますが、邦訳作品はこれ一作きり('00年発行)という現実もなんとなく納得できてしまう一冊。
 ひとつ小姑じみたツッコミを入れさせてもらうと、訳者さんのスポーツ関連名詞の訳(読みといったほうがいいか)がけっこう謎。細かいと思われるかもしれませんが、ダン・マリーノのことを“ダン・マリノ”という人は見たことも聞いたこともないし、“タンパ・ベイ・ブカニアズ”とか“カリーム・アダルジャバー”までくると眩暈がしてくるレベル。全体的な訳には何の問題もないんだが……。

# by nobody85 | 2014-10-31 11:39 | ミステリ | Comments(0)